相談事例11:預託会員制のゴルフ会員権が相続の対象となる場合、どのような手続が必要となるか?

相談事例11 預託会員制のゴルフ会員権が相続の対象となる場合、どのような手続が必要となるか?(豊中市在住の方)

 預託会員制のゴルフ会員権を相続する場合、相続の対象となるのは、ゴルフ場及び附帯設備の優先的利用権や年会費納入義務などの会員権を構成する個々の権利義務ではなく、理事会の入会承認を得ることなどの会則上の条件を具備することにより確定的に会員となることができる地位です。そのため、相続により上記のような契約上の地位を共同相続人が共有することになります(民法898条)。

 

 ゴルフ会員権を複数の相続人が共同で行使することは原則として認められませんので、共同相続人は遺産分割協議によって、相続人のうちの1人に上記のような契約上の地位を帰属させることが必要になります。

 

 その上で、相続人がゴルフ場を経営する会社に対して、相続を原因とする名義変更の手続を請求することとなります。その際、ほとんどのクラブでは会則規定等によって理事会の承認を要件としておりますので、その承認を得ることによって確定的に会員たる地位を取得することとなります。

 

 なお、会則上相続は認められていても、「会員が死亡したときは、6箇月以内に届出しなければならない」等の届出期間の制限をしている場合があります。この点に関して、最高裁は、共同相続人の場合に遺産分割の合意が成立するまでに相当の時間がかかること等を考慮して、この「規定は、死亡した会員の相続人が複数いる場合には、相続人の間で遺産分割に関する協議が成立した後6箇月以内に右規定所定の手続をすべき旨定めたものと解するのが相当である。」と判断しています。

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大阪千里法律事務所 寺尾 浩(てらお ひろし)
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大阪千里法律事務所、代表弁護士の寺尾浩と申します。当事務所では、豊中市・吹田市・箕面市を中心に、多くの相続問題を多く取り扱っております。依頼者の想いを十分にお聞きし、その想いを実現するために徹底した調査を行い、 専門的知識・経験豊富な弁護士が、依頼者の想いが最も反映された解決案を提示し、 その実現のために、全力を尽くします。 |当事務所の弁護士紹介はこちら