相談事例12:死亡退職金や遺族年金は相続財産となるか?

相談事例12 死亡退職金や遺族年金は相続財産となるか?(箕面市在住の方)

 ①死亡退職金について、公務員は法律や条令によって民法の相続人の範囲及び順位とは異なる受給権者の範囲・順位等が規定されています。民間企業でも就業規則や労働協約等で死亡退職金が定められている場合には、民法の相続人の範囲及び順位とは異なる受給権者の範囲・順位等が規定されている場合が多いです。

 

 法令や就業規則等の定めにより死亡退職金の受給権者の範囲・順位等が規定されている場合には、受給者たる遺族は、相続人としてではなく、法令や就業規則等の定めにより、自己固有の権利として死亡退職金を取得することになります。そのため死亡退職金は相続財産にはなりません。

 

 最高裁判例には、「財団法人の理事が死亡し、当該財団法人には退職金の支給に関する規程はなかったが、死亡した理事の妻に2000万円の死亡退職金が支給された」事案において、死亡退職金は相続財産として相続人の代表者としての妻に支給されたものではなく、相続という関係を離れて被相続人の配偶者であった妻個人に対して支給されたものであるとして、相続財産ではないと判断したものがあります。

 

 ②遺族年金については、退職金よりも遺族の生活保障を目的とするものであることが明確であり、法律により受給権者の範囲・順位が明確に定まっているので、相続財産には含まれません。

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大阪千里法律事務所 寺尾 浩(てらお ひろし)
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大阪千里法律事務所、代表弁護士の寺尾浩と申します。当事務所では、豊中市・吹田市・箕面市を中心に、多くの相続問題を多く取り扱っております。依頼者の想いを十分にお聞きし、その想いを実現するために徹底した調査を行い、 専門的知識・経験豊富な弁護士が、依頼者の想いが最も反映された解決案を提示し、 その実現のために、全力を尽くします。 |当事務所の弁護士紹介はこちら