遺産分割協議において、自宅不動産をどのように評価すればいいか
遺産の中に不動産がある場合、
①不動産を売却して売却金を相続人間で分ける方法又は
②特定の相続人が不動産を取得する方法
のどちらかの内容で遺産分割協議が行われることがほとんどだと思います。
①の方法を選択する場合は、通常売却額がそのまま不動産の評価額と考えられますので、不動産の評価額自体が争いになることはそれほど多くありません。
これに対し、②の方法を選択する場合は、遺産総額や不動産を取得する相続人から他の相続人へ支払う代償金を算定するために、同不動産の評価額を相続人間で取り決めることが必要になります。
不動産の評価方法に関して、公的な基準としては、以下のものがあります。
・公示価格
国土交通省の土地鑑定委員会が毎年1月1日時点における標準地の正常な価格として公示するもの
・路線価
国税庁が公表している路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額(相続税を算定する際の基準となるもの)
・固定資産税評価額
各市区町村が公表している固定資産税を算出するための基準となる固定資産の価値を評価した額
不動産の評価に際しては、不動産がいくらで取引されているか(実勢価格)を基準に考える必要がありますが、上記各評価方法は必ずしも実勢価格と一致するわけではありません。
そのため、不動産の評価額を巡って相続人間で争いになっている事案では、不動産取引を取り扱っている不動産業者の査定書が用いられることが多いです。
不動産の評価額を巡ってどうしても合意できない場合は、不動産鑑定士による鑑定を行うこともありますが、鑑定には費用もかかるため、不動産鑑定まで行う事案はそれほど多くありません。
但し、不動産業者の査定書は、業者によって金額が大きく異なることもありますので、他の相続人が既に査定書を入手している場合でも、別の不動産業者に査定を依頼し、査定額に違いがないか確認する必要があります。
不動産の相続に関してお悩みの場合は、一度事務所にご相談ください。