相続開始後にするべきこと(1)

被相続人が亡くなった場合、亡くなった日から相続が自動的に開始しますが、相続開始後は一般的に以下(①〜⑪)の手続を行う必要があります。

①  死亡届及び死亡診断書の提出

…死亡の事実を知った日から7日以内(国外で死亡したときは、その事実を知った日から3ヶ月以内)に、死亡届及び医師が記載した死亡診断書を、被相続人の死亡地、本籍地または届出人の住所地のいずれかの市区町村役場に提出します。

②  お通夜・葬儀・初七日法要・四十九日法要

…*葬式にかかった費用は相続税を計算する時に控除することができますので、 誰が支払ったかを明記した上で領収書を保管しておくと良いでしょう。

…*相続税控除の対象になると認められる葬式費用とは、死体の捜索、運搬にかかった費用やお通夜等葬式の前後に必要となった費用です。
香典返しの費用や、墓地・墓石の購入費、告別式以降にかかった費用は含まれません。

 

③ 遺言書の有無の確認

…遺言書の有無によって相続に関する手続は大きく異なります。
もし遺産の分配後に遺言書が見つかると、遺言書の内容及び相続人の意思決定によっては遺産分割協議の内容が無効になり、再分割の協議が必要となるので、遺言書の有無を確認することはとても大切です。

その有無を調べる方法は、遺言の種類によって以下の通りとなります。

a.     公正証書遺言の有無の調べ方

…公証役場に問い合わせをします。
この際、遺言者(被相続人)が死亡していることを証明できる資料、請求者が相続人であることを証明できる資料、請求者の本人確認書類が必要となります。

b.     秘密証書遺言の有無の調べ方

…秘密証書遺言はその作成に際し公証人が関与するため、公証役場に問い合わせをすることで有無を調べることができます。
しかし、公正証書遺言と異なり、遺言書は公証役場で保管しているわけではないため、遺言書自体は自筆証書遺言と同様の方法で探す必要があります。

秘密証書遺言を発見した場合でも、その場で開封してはいけません。
もし開封してしまうと処罰されたり、自分に有利に書き換えたと疑われてしまう危険がありますので、必ず家庭裁判所に持参して検認の手続をして下さい。

c.自筆証書遺言の有無の調べ方

…自筆証書遺言の有無を調べる確実な方法はありません。
遺言書をしまっていそうな場所を探すか、遺言を預かってもらっていそうな銀行、友人、税理士、弁護士等に聞いてみると良いでしょう。
自筆証書遺言についても秘密証書遺言同様、その場で開封しないでください。

④ 相続人の確定

…相続の開始時点で相続人が複数いる場合、被相続人の遺産は相続人全員の共有となるため、相続人を一人でも欠いた遺産分割協議は無効となります。

相続人を確定するためには、被相続人の出生から亡くなるまでの一連の戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本、除住民票・戸籍の附票等を揃えます。
また、法定相続人全員の戸籍謄抄本及び住民票を揃えます。
この際、相続税の申告等金融機関の手続や遺産分割協議書を作成する場合に必要となる相続人全員の印鑑証明書も揃えておくと良いでしょう。

相続開始後にするべきこと(2)へ続きます。