異母兄弟が主張してきた「依頼者の相続分を譲渡してもらう代わりに、依頼者に対して10万円を支払う」という案を撤回させ、「異母兄弟が遺産不動産を取得する代償金として、依頼者に対して130万円を支払う」という内容で遺産分割調停を成立させた事例

異母兄弟が主張してきた「依頼者の相続分を譲渡してもらう代わりに、依頼者に対して10万円を支払う」という案を撤回させ、「異母兄弟が遺産不動産を取得する代償金として、依頼者に対して130万円を支払う」という内容で遺産分割調停を成立させた事例

依頼者 50代男性(大阪市在住)

 

遺産 不動産

相手方 60代男性(名古屋市在住)、40代女性(名古屋市在住)

依頼の経緯

10年以上前にAさんの父親であるBさん(以下「父B」といいます。)は亡くなっていましたが、その後相続人間で父Bの遺産分割協議を行っておらず、父Bが所有していた不動産も父B名義のままになっていました。

そのため、父Bの後妻(父Bが亡くなった後に亡くなりました。)の子であるCとDは、弁護士に依頼してAさんに相続分の譲渡を求めてきました。

また、Aさんの兄であるEさんも相続人でしたが、Eさんは既にCに対して自身の相続分を譲渡していました。

C・Dは、当初、Aさんに対し、「Aさんの相続分を譲渡してもらう代わりに10万円だけ支払う」という案を提示してきました。

Aさんの法定相続分は8分の1でしたが、父Bの遺産不動産は少なくとも1000万円以上の価値があると考えられたため、AさんはC・Dの提案を拒否しました。

それでもC・Dは「Aさんには10万円しか支払わない」という主張を続けたため、交渉は決裂し、C・Dは家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てました。

そのため、Aさんはこれ以上自分で交渉するのは難しいと考え、今後の対応を当方に依頼されました。

事情

父Bが亡くなったのは10年以上前のことであり、調停が申し立てられた時点では不動産以外に父Bにどの程度の遺産があったのかを裏付ける資料(預貯金通帳等)が残っていなかったため、調停では遺産不動産のみが協議の対象となりました。

弁護士が不動産の査定書を取得し、法定相続分どおりに計算したところ、遺産不動産をC・Dが取得する場合、C・DはAさんに対して、代償金として200万円程度支払う必要があると考えられました。

 そのため、調停において、弁護士は、「遺産不動産をC・Dが取得するのは構わないが、法定相続分どおりに遺産分割するのであれば、“Aさんに10万円しか支払わない”というC・Dの主張が認められる余地はない。」と主張しました。

これに対し、C・Dは、「遺産不動産は売却せずにC・Dが取得し、一定の代償金をAさんに支払う内容の遺産分割を考えている。」と主張し、「Aさんに10万円しか支払わない」という案は撤回しました。

ただ、同時にC・Dは、「父Bが生前重度の障害で働けなかったため、遺産不動産の住宅ローンの一部をCが支払っていた。そのため、遺産不動産の時価のうち、Cの寄与が認められる割合を差し引いて計算すると、C・DがAさんに支払う必要のある代償金は約84万円~約101万円になる。」と主張してきました。

Aさんは、父Bと長年疎遠となっていたため、C・Dの上記主張が事実かどうかは分かりませんでした。

そこで、弁護士は、「Cが遺産不動産の住宅ローンを支払っていた証拠となる預貯金通帳や領収書等の資料を開示すればC・Dの主張を検討するが、何ら証拠資料の開示なくC・Dの言い分をそのまま信じることはできない。」と反論し、C・Dに対して証拠資料の開示を求めました。

しかし、C・Dは、父Bが重度の障害を負っていたことを示す証拠資料は開示してきましたが、Cが遺産不動産の住宅ローンを支払っていたことを裏付ける資料は全く開示しませんでした。

そのため、弁護士は、Aさんへの代償金の増額を求めてC・Dと交渉を続けました。

その結果、C・DはAさんに支払う代償金の金額を130万円まで増額する案を提示してきました。

C・Dの上記提示額は200万円に届きませんでしたが、Aさんは、早期解決を希望しており、もともと200万円という金額に固執する意思はありませんでしたので、130万円という代償金の金額にも納得されました。

そのため、最終的に「C・Dが遺産不動産を取得し、その代償金として、C・DはAさんに対して130万円を支払う。」という内容で調停を成立させました。