被相続人と面識のなかった半血兄弟(父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹)と交渉し、本来の相続分以下の金額で合意することを認めさせ、遺産分割協議を成立させた事例

被相続人と面識のなかった半血兄弟(父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹)と交渉し、本来の相続分以下の金額で合意することを認めさせ、遺産分割協議を成立させた事例

依頼者 70代男性 豊中市在住

不動産・預貯金・投資信託・保険

依頼の経緯

Aさんの姉が亡くなり、Aさんの兄弟姉妹が相続人となりました。Aさんには、亡くなった姉以外に、姉B、妹C、弟D(養子)がいました。
Aさんが遺産分割協議のために父親の戸籍を取り寄せたところ、Aさんの父親には前妻の子E・F(Aさんの異母兄弟)がいることが判明しました。すでにE・Fは亡くなっていましたが、Eには子G・H、Fには子I・Jがいました。そのため、相続人はA~D・G~Jの8名になることが分かりました。
G~Jは、亡くなったAさんの姉と面識すらなかったため、Aさんは、G~Jに対し、G~Jが遺産を取得しない内容で遺産分割協議を成立させるようお願いしました。
その結果、G・HはAさんの話に納得しましたが、I・Jはこれを拒否しました。そのため、Aさんは「I・Jに対し190万円を支払う。」という案も提示しましたが、I・Jはこれも拒否しました。Aさんは、このまま自分一人で交渉しても遺産分割協議を成立させられないと判断し、当方に依頼されました。

事情

I・Jの父であるFは、Aさんの父親の前妻の子であるため、亡くなったAさんの姉とは半血兄弟(父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹)の関係にあります。半血兄弟(E・F)の相続分は、全血兄弟(父母の双方が同じ兄弟姉妹、A~D)の相続分の2分の1です。
I・JはFを代襲相続して相続人になっていましたので、Fの相続分(10分の1)のさらに2分の1である20分の1がI・Jのそれぞれの相続分となります。
Aさんの姉の遺産総額としては、約5000万円ありました。もっとも、すでにAさんの姉の葬儀費用等のために約220万円かかっていました。5000万円から220万円控除した残額4780万円の20分の1は約240万円です。
Aさんは、弁護士に依頼する前に、「I・Jの法定相続分は12分の1なので、I・Jに対し、190万円ずつ支払う。」という案を提示していました。しかし、この案は、「I・Jの法定相続分は12分の1である。」という司法書士の誤った説明を前提に提示されたものでした。
そこで、弁護士は、I・Jに対し、「I・Jの法定相続分は20分の1である。Aさんが前に提示した案は、誤った法的アドバイスを前提としたものである。」と説明し、「I・Jに対し、190万円ずつ支払う。」という案を撤回しました。
その上で、「今後、お墓の管理費等もかかるため、Aさんの姉と面識のないI・Jに渡す金額をできるだけ低くしたい。」というAさんの意向を尊重し、I・Jに対し、「代償金として170万円ずつ支払う。」という案を提示しました。
また、I・J以外の相続人は弁護士が介入する前に遺産分割協議書(I・Jが遺産を取得しない内容)に署名押印済みでした。
そのため、弁護士は、同内容の遺産分割協議書にI・Jに署名押印させて遺産分割協議を成立させ、I・Jへの代償金の支払は遺産分割協議とは別に行うという形での合意(本件合意方法)を求めました。
交渉開始当初、Iは電話や書面での交渉に応じましたが、Jは弁護士からの書面の受取りさえ拒否し、交渉に応じようとしませんでした。
そのため、弁護士は、Iを通じて働きかける等、粘り強くJを説得し、Jを交渉のテーブルにつかせました。
その後、本件合意方法では、I・Jに贈与税がかかる可能性があることが判明しました。
これを前提に弁護士が交渉した結果、I・Jは、「I・Jがそれぞれ代償金220万円ずつを取得する。」という案を提示してきました。
しかし、I・Jはすぐにこれを撤回し、「I・Jがそれぞれ代償金230万円ずつを取得する。」という案に修正してきました。
このまま遺産分割協議が成立せず、調停・審判に移行した場合、I・Jに対する代償金の額は240万円(I・Jの相続分)以上になることは明らかでした。その場合、Aさんの姉の葬儀費用等のために支出した220万円を遺産から控除することも認められない可能性もありました。
さらに、調停や審判になれば、すでにAさんが希望する遺産分割の内容に納得していたB~D・G・Hも参加して再度遺産の分け方を話し合わなければなりません。
弁護士がこれらのリスクをAさんに説明したところ、Aさんが代償金230万円という金額で合意することに納得されたので、最終的に「I・Jに対し、それぞれ代償金230万円ずつを支払う。」という内容で合意し、遺産分割協議を成立させました。