相談事例28:父親が亡くなり、子である兄弟3人が相続人となった。長男と次男は最終学歴が公立の高等学校だが、三男だけは私立大学の医学部まで進学しており、その学費はすべて父親が出していた。三男への父親からの学費の援助は特別受益に該当するか?

相談事例28:父親が亡くなり、子である兄弟3人が相続人となった。長男と次男は最終学歴が公立の高等学校だが、三男だけは私立大学の医学部まで進学しており、その学費はすべて父親が出していた。三男への父親からの学費の援助は特別受益に該当するか?(豊中市在住の方)

 
 相続人に対する生前贈与については、遺産の前渡しといえるようなものに限り、特別受益に当たります。学費の援助についても特別受益に該当する可能性はあります。もっとも、大学に進学させるための学費の援助は、昨今の大学進学率から考えると、親としての扶養義務の範囲内であり、特別受益に当たらないとされる場合も多いです。


 学費の援助が特別受益に該当するといえるかどうかは、親の生前の資力・生活状況・家庭の状況・社会的地位などに照らし、通常の扶養義務の範囲内の支出の一環といえるかどうかを検討して判断することになります。
 

 本件の場合、長男・次男は公立高校までしか進学しておらず、一般的に学費が高額になる私立大学医学部に進学するための学費を三男だけが父親に援助してもらっているので、三男への学費の援助が特別受益に該当する可能性はあります。
 

ただし、父親の生前の資力や兄弟間の学力等の個人差その他の事情も考慮して、三男への学費の援助が通常の扶養義務の範囲内といえるような場合は、特別受益には該当しません。

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大阪千里法律事務所 寺尾 浩(てらお ひろし)
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大阪千里法律事務所、代表弁護士の寺尾浩と申します。当事務所では、豊中市・吹田市・箕面市を中心に、多くの相続問題を多く取り扱っております。依頼者の想いを十分にお聞きし、その想いを実現するために徹底した調査を行い、 専門的知識・経験豊富な弁護士が、依頼者の想いが最も反映された解決案を提示し、 その実現のために、全力を尽くします。 |当事務所の弁護士紹介はこちら