相談事例81(箕面市在住の方からのご相談)父が亡くなり、私(長男)と弟(二男)が相続人となった。父は生前、「A不動産とB不動産を長男(私)に相続させる」という趣旨の第一遺言を残していたが、第一遺言より後の日付で「A不動産を二男に相続させる」という内容の第二遺言も残していた。父親の遺産としてはA・B不動産以外に多額の預貯金もあるが、遺産分割協議を行うにあたり、不動産や預貯金をどのように分ければいいか?

相談事例81(箕面市在住の方からのご相談)父が亡くなり、私(長男)と弟(二男)が相続人となった。父は生前、「A不動産とB不動産を長男(私)に相続させる」という趣旨の第一遺言を残していたが、第一遺言より後の日付で「A不動産を二男に相続させる」という内容の第二遺言も残していた。父親の遺産としてはA・B不動産以外に多額の預貯金もあるが、遺産分割協議を行うにあたり、不動産や預貯金をどのように分ければいいか?

日時を異にした複数の遺言がある場合、死亡に近い後の遺言が優先され、

遺言者が前遺言と抵触する遺言をすれば、その抵触する範囲において、

前遺言を撤回したものとみなされます(民法1023条1項)。
 

本件の場合は、第二遺言の方が第一遺言よりも優先されるため、

A不動産は二男が取得することになりますが、

「B不動産を長男に相続させる」という範囲では第一遺言と第二遺言の抵触はありませんので、

B不動産はあなた(長男)が取得することになります。

 

また、父親の遺言によって、A不動産を二男が取得し、
B不動産をあなた(長男)が取得したことは、どちらも特別受益にあたりますので、
A・B不動産の時価と父親の預貯金の総額が父親の遺産であることを前提に
それぞれの相続分を算定して遺産分割協議を行う必要があります(民法903条)。

 

あなた(長男)と二男の法定相続分は2分の1ずつですので、法定相続分どおりに遺産分割協議を成立させたいのであれば、A・B不動産の時価及び預貯金の総額の2分の1ずつをあなた(長男)と二男が取得する内容になるように父親の預貯金を分ける必要があります。

 

なお、あなた(長男)と二男が合意すれば、A・B不動産について遺言と異なる内容で遺産分割協議を成立させることも可能です。
 

投稿者プロフィール

大阪千里法律事務所 寺尾 浩(てらお ひろし)
大阪千里法律事務所 寺尾 浩(てらお ひろし)
大阪千里法律事務所、代表弁護士の寺尾浩と申します。当事務所では、豊中市・吹田市・箕面市を中心に、多くの相続問題を多く取り扱っております。依頼者の想いを十分にお聞きし、その想いを実現するために徹底した調査を行い、 専門的知識・経験豊富な弁護士が、依頼者の想いが最も反映された解決案を提示し、 その実現のために、全力を尽くします。 |当事務所の弁護士紹介はこちら