相談事例85(豊中市在住の方からのご相談)夫が亡くなり、妻である私と子どもが相続人になった。夫とは長年に渡って別居しており、夫は不貞相手と同居していた。夫は不貞相手に遺産の一部を遺贈する旨の遺言を残していたが(相続人の遺留分は侵害していない)、夫の遺言どおりに夫の不貞相手に遺産の一部を渡さなければならないか?

相談事例85(豊中市在住の方からのご相談)夫が亡くなり、妻である私と子どもが相続人になった。夫とは長年に渡って別居しており、夫は不貞相手と同居していた。夫は不貞相手に遺産の一部を遺贈する旨の遺言を残していたが(相続人の遺留分は侵害していない)、夫の遺言どおりに夫の不貞相手に遺産の一部を渡さなければならないか?

遺言者は、法定相続人の遺留分を侵害しない限り、遺言によって自分の財産の全部又は一部を自由に処分できるのが原則です(民法964条)。

ただし、遺贈が公序良俗に違反する場合は、無効となります(民法90条)。

不貞相手への遺贈が直ちに公序良俗違反になるわけではありませんが、
不貞相手との不貞関係は法律上許容される関係ではありませんから、
事案によっては公序良俗に違反する場合があります。


具体的には、
①妻との婚姻の実態がある程度失われた後の遺言かどうか、
②不貞相手との内縁関係がある程度継続した後の遺言かどうか、
③遺贈が不貞関係の維持継続を目的としているかどうか、
④遺贈の内容が相続人らの生活基盤を脅かすものであるかどうか

等の事実関係を総合的に考慮して、公序良俗に違反するかどうかが判断されることになります。

本件の場合も、夫の不貞相手への遺贈が公序良俗に違反して無効となる可能性があります。
夫の不貞相手への遺贈が公序良俗違反で無効となる場合は、
夫の不貞相手は相続人ではありませんから、不貞相手に遺産の一部を渡す必要はなく、
相続人であるあなた(妻)と子どもで夫の遺産を全て分けることになります。

 

投稿者プロフィール

大阪千里法律事務所 寺尾 浩(てらお ひろし)
大阪千里法律事務所 寺尾 浩(てらお ひろし)
大阪千里法律事務所、代表弁護士の寺尾浩と申します。当事務所では、豊中市・吹田市・箕面市を中心に、多くの相続問題を多く取り扱っております。依頼者の想いを十分にお聞きし、その想いを実現するために徹底した調査を行い、 専門的知識・経験豊富な弁護士が、依頼者の想いが最も反映された解決案を提示し、 その実現のために、全力を尽くします。 |当事務所の弁護士紹介はこちら