相談事例33:母が亡くなり、私(兄)と弟が相続人となった。弟は結婚する際に母から支度金を援助してもらっていた。当該支度金の援助は特別受益に当たるか?

相談事例33:母が亡くなり、私(兄)と弟が相続人となった。弟は結婚する際に母から支度金を援助してもらっていた。当該支度金の援助は特別受益に当たるか?(箕面市在住の方)

 特別受益には「婚姻若しくは養子縁組のため」になされた贈与も含まれますので(民法903条1項)、婚姻や養子縁組の際の持参金・支度金・結納金等の贈与は特別受益に該当することが多いです。
 
 ただし、贈与の価額が少額で、被相続人の生前の資産及び生活状況に照らして通常の扶養義務の範囲内の支出と認められる場合は、特別受益に該当しないとするのが一般的です。
 
 また、挙式費用については、親の世間に対する社交上の出費としての性質が強いので、特別受益には該当しないと考えるべきだとする見解もあります。
 
 本件では、被相続人である母親から結婚の支度金の贈与を弟が受けていますので、支度金の価額や母親の資産状況等にもよりますが、特別受益に該当する可能性は十分にあります。
 
 なお、共同相続人全員が同程度の婚姻のための贈与を受けている場合は、被相続人による持戻免除の黙示の意思表示があったものと認め、特に特別受益として考慮する必要はないと考えられますので、弟だけでなく兄も母親から弟と同程度の支度金の贈与を受けている場合は、それぞれの支度金の贈与を特別受益として考慮する必要はないと考えられます。
 

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大阪千里法律事務所 寺尾 浩(てらお ひろし)
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大阪千里法律事務所、代表弁護士の寺尾浩と申します。当事務所では、豊中市・吹田市・箕面市を中心に、多くの相続問題を多く取り扱っております。依頼者の想いを十分にお聞きし、その想いを実現するために徹底した調査を行い、 専門的知識・経験豊富な弁護士が、依頼者の想いが最も反映された解決案を提示し、 その実現のために、全力を尽くします。 |当事務所の弁護士紹介はこちら