相談事例34:墓石や仏壇も遺産として遺産分割の対象となるか?

相談事例34:墓石や仏壇も遺産として遺産分割の対象となるか?(豊中市在住の方)

墓石や仏壇のような財産のことを、祭祀財産といいます。
 
祭祀財産(系譜・祭具及び墳墓)については、遺産として遺産分割の対象とはならず、
祭祀主宰者が承継するとされています(民法897条)。

系譜とは、家系図など先祖代々の系統(家系)を書いた文書・図書のことをいいます。

祭具とは、仏像・位牌その他礼拝又は祭祀に直接供するため欠くことができない物をいい、
仏壇はこれにあたります。

墳墓とは、遺体や遺骨を葬ってある墓碑・埋棺・霊屋・墓所・霊びょうなどの設備を指し、
墓石はこれにあたります。

祭祀財産が遺産と異なる扱いを受ける理由は、
祭祀財産がその性質上共同相続(共有等)に適さないことや、
祭祀財産を普通の財産と同視してこれと同様に扱うことが
従来からの国民感情や習俗からみて好ましくないためとされています。

このように祭祀財産は祭祀主宰者が承継しますが、
その祭祀主宰者には、
①被相続人の指定がある場合はその指定された者、
②被相続人の指定がない場合には慣習によって祭祀主宰者となるべき者、
③被相続人の指定もなく慣習によっても明らかでない場合や、指定や慣習の有無やその内容などに争いがあるような場合には、家庭裁判所が指定した者

がなることになります。

本件では、墓石や仏壇は祭祀財産ですので、遺産分割の対象とはならず、
上記①②③の方法によって指定された祭祀主宰者が承継することになります。
 

投稿者プロフィール

大阪千里法律事務所 寺尾 浩(てらお ひろし)
大阪千里法律事務所 寺尾 浩(てらお ひろし)
大阪千里法律事務所、代表弁護士の寺尾浩と申します。当事務所では、豊中市・吹田市・箕面市を中心に、多くの相続問題を多く取り扱っております。依頼者の想いを十分にお聞きし、その想いを実現するために徹底した調査を行い、 専門的知識・経験豊富な弁護士が、依頼者の想いが最も反映された解決案を提示し、 その実現のために、全力を尽くします。 |当事務所の弁護士紹介はこちら