相談事例38:被相続人が生前に行った生命保険の受取人を相続人の1人に指定・変更する行為は遺留分減殺請求の対象となるか?

相談事例38:被相続人が生前に行った生命保険の受取人を相続人の1人に指定・変更する行為は遺留分減殺請求の対象となるか?(豊中市在住の方)

生命保険の受取人の指定・変更が、遺留分減殺請求の対象となる「遺贈」又は「贈与」に含まれるかどうかについては議論があります。
 
最高裁は、そもそも死亡保険金請求権は指定された保険金受取人が自己の固有の権利として取得することなどを理由として、遺留分減殺請求の対象とはならないと判断しました(①最高裁判例)。

もっとも、その後、最高裁は別の決定で、生命保険金の受取りが特別受益に準じて持戻しの対象となる(相続財産に持ち戻して相続分を算定する)場合があることを判示しました(②最高裁判例)。

①最高裁判例は、生命保険の受取人の指定・変更が民法1031条に規定する「遺贈」又は「贈与」に当たらないことを判示しただけです。
したがって、
②最高裁判例に従い、生命保険金の受取りが特別受益に準じるものとして持戻しの対象となるような事案の場合には、通常の特別受益と同様に遺留分減殺請求の対象となり得る余地があると考えられます

本件でも、問題となっている生命保険の受取りが特別受益に準じるものとして持戻しの対象となるような場合であれば、被相続人が生前に行った生命保険の受取人を相続人の1人に指定・変更する行為は、遺留分減殺請求の対象となり得る余地があります
 

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大阪千里法律事務所 寺尾 浩(てらお ひろし)
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大阪千里法律事務所、代表弁護士の寺尾浩と申します。当事務所では、豊中市・吹田市・箕面市を中心に、多くの相続問題を多く取り扱っております。依頼者の想いを十分にお聞きし、その想いを実現するために徹底した調査を行い、 専門的知識・経験豊富な弁護士が、依頼者の想いが最も反映された解決案を提示し、 その実現のために、全力を尽くします。 |当事務所の弁護士紹介はこちら