相談事例41 父が亡くなり、私(妹)と兄が相続人となった。父は、「唯一の遺産である不動産を兄に遺贈する」という内容の遺言を残していた。これにより私の遺留分が侵害されたため、兄に対して、内容証明郵便で遺留分減殺請求を行った。当該不動産は私と兄の共有となるか?

相談事例41 父が亡くなり、私(妹)と兄が相続人となった。父は、「唯一の遺産である不動産を兄に遺贈する」という内容の遺言を残していた。これにより私の遺留分が侵害されたため、兄に対して、内容証明郵便で遺留分減殺請求を行った。当該不動産は私と兄の共有となるか?(豊中市在住の方)

遺留分減殺請求権が行使された場合、受贈者(贈与を受けた者)又は受遺者(遺贈を受けた者)は、遺留分権利者に対して、遺留分減殺請求権の対象財産の全部又は一部について返還義務を負担することになります(現物返還の原則)。

 もっとも、被相続人(父)の意思を尊重しつつ、すでに対象財産の上に利害関係を生じた受贈者又は受遺者と遺留分権利者との利益の調整を図ることを可能にするため、受遺者又は受贈者は、減殺を受ける限度において、贈与又は遺贈の目的の価額を遺留分権利者に弁償して返還の義務を免れることができるとされています(民法1041条1項)。
 
 本件の場合、不動産が唯一の遺産ということですので、兄が妹に対し、遺留分相当額を価格弁償しなければ、現物返還の原則により、当該不動産は兄と妹の共有となります
 なお、遺言の内容と異なる遺産分割協議を行うことは可能ですので、兄と妹が合意すれば、妹が単独で当該不動産を取得する代わりに、妹が兄に対して代償金を支払うという内容で遺産分割協議を成立させることも可能です。
 

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大阪千里法律事務所 寺尾 浩(てらお ひろし)
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