相談事例42 父が亡くなり、母と娘である私が相続人となった。母は重度の認知症と診断されているが、母と私で遺産分割協議を行うことはできるか?

相談事例42 父が亡くなり、母と娘である私が相続人となった。母は重度の認知症と診断されているが、母と私で遺産分割協議を行うことはできるか?(箕面市在住の方)

法律行為を有効に行うには、意思能力(自己の行為の結果について合理的に判断する能力)が必要です。

遺産分割協議も法律行為ですので、有効に遺産分割協議を行うためには、相続人全員に意思能力が必要となります。
また、民法は、意思能力に問題があるため自己の財産を管理・処分できない人を保護するために、成年後見制度を設けています
そのため、相続人の中に精神上の障害により事理弁識能力(意思能力)を欠く常況にある人がいる場合は、家庭裁判所に後見開始の審判申立を行って後見人を選任してもらう必要があります(民法7条)
後見人が選任されれば、事理弁識能力を欠く常況にある相続人を代理してその後見人が遺産分割協議を行うことになります。
 
本件では、母親は重度の認知症ということですので、事理弁識能力を欠く常況にある可能性があります。
そのため、医師に後見人を付けた方がいいと診断された場合は、家庭裁判所に母親の後見人を選任してもらったうえで、その後見人と遺産分割協議を行うことになります
 

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大阪千里法律事務所 寺尾 浩(てらお ひろし)
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大阪千里法律事務所、代表弁護士の寺尾浩と申します。当事務所では、豊中市・吹田市・箕面市を中心に、多くの相続問題を多く取り扱っております。依頼者の想いを十分にお聞きし、その想いを実現するために徹底した調査を行い、 専門的知識・経験豊富な弁護士が、依頼者の想いが最も反映された解決案を提示し、 その実現のために、全力を尽くします。 |当事務所の弁護士紹介はこちら