相談事例45 遺産である不動産の賃借人が賃料を滞納している場合、遺産分割前でも各相続人は賃料請求や契約解除をすることができるか?

相談事例45 遺産である不動産の賃借人が賃料を滞納している場合、遺産分割前でも各相続人は賃料請求や契約解除をすることができるか?(茨木市在住の方)

相続開始後、遺産は共同相続人の共有財産となります(民法898条)。

 

 法律上、遺産分割が完了するまでの間は、
①遺産の保存行為は各相続人が単独で行うことができ(民法252条ただし書)、
②遺産の管理行為は共同相続人の相続分の割合に従って過半数で行い(民法252条本文)、
③遺産に変更を加える行為は共同相続人全員の合意により行う必要があるとされています(民法251条)。

 

①「保存行為」とは、共有物の現状を維持する行為のことです。
②「管理行為」とは、共有物の変更・処分にまで至らない程度の共有物の利用・改良行為のことです。
③「変更を加える行為」には、物理的な変更だけでなく、法律的な処分行為も含みます。

 

遺産である不動産に関する賃料請求や賃貸借契約の解除は②管理行為に該当すると考えられます。
したがって、賃料請求や賃貸借契約の解除に賛成する共同相続人の相続分合計が過半数であれば、
賃料請求や賃貸借契約の解除を行うことができます

 

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大阪千里法律事務所 寺尾 浩(てらお ひろし)
大阪千里法律事務所 寺尾 浩(てらお ひろし)
大阪千里法律事務所、代表弁護士の寺尾浩と申します。当事務所では、豊中市・吹田市・箕面市を中心に、多くの相続問題を多く取り扱っております。依頼者の想いを十分にお聞きし、その想いを実現するために徹底した調査を行い、 専門的知識・経験豊富な弁護士が、依頼者の想いが最も反映された解決案を提示し、 その実現のために、全力を尽くします。 |当事務所の弁護士紹介はこちら