相談事例46 父が亡くなり、私(弟)と兄が相続人になった。父は遺産である不動産を兄に遺贈する内容の遺言を残していた。不動産以外にも遺産があったため、兄に内容証明郵便で遺産分割協議を申し入れたが、別途遺留分減殺請求もしておく必要があるか?

相談事例46 父が亡くなり、私(弟)と兄が相続人になった。父は遺産である不動産を兄に遺贈する内容の遺言を残していた。不動産以外にも遺産があったため、兄に内容証明郵便で遺産分割協議を申し入れたが、別途遺留分減殺請求もしておく必要があるか?(吹田市在住の方)

一部の相続人に対する遺産不動産の遺贈が他の相続人の遺留分を侵害する場合、
遺贈を受けなかった相続人が遺留分相当額を取得するには、遺留分減殺請求をする必要があります。

遺産分割請求と遺留分減殺請求は要件・効果が異なるので、遺産分割協議の申入れが遺留分減殺請求権の行使を含むとは認められないのが通常です。

ただし、意思表示の解釈の問題として、例外的にこれが認められる場合もあります。

例えば、全ての遺産が相続人の一部の者に遺贈されたという事案で、遺贈を受けなかった相続人が遺贈の効力を争わず遺産分割協議の申入れをした場合には、遺留分減殺請求の意思表示を含むと判断した判例があります。

本件の場合は、全ての遺産が兄に遺贈されたわけではありません。
また、遺産分割請求が遺留分減殺請求の行使を含むと考えられるのは、あくまで例外的な場合のみです。
そのため、遺産不動産を兄が取得することで弟の遺留分が侵害され、
かつ、弟が遺留分相当額を取得することを希望するのであれば、
弟は兄に対し、遺産分割協議の申入れとは別に遺留分減殺請求をすべきです。

 
 

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大阪千里法律事務所 寺尾 浩(てらお ひろし)
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大阪千里法律事務所、代表弁護士の寺尾浩と申します。当事務所では、豊中市・吹田市・箕面市を中心に、多くの相続問題を多く取り扱っております。依頼者の想いを十分にお聞きし、その想いを実現するために徹底した調査を行い、 専門的知識・経験豊富な弁護士が、依頼者の想いが最も反映された解決案を提示し、 その実現のために、全力を尽くします。 |当事務所の弁護士紹介はこちら