相談事例48 父が亡くなり、子である私(弟)と兄が相続人になった。父が借地権を有していた土地を、兄は、父の生前に地主から底地権価格(更地価格から借地権価格を引いた額)相当額で買い取っていた。兄が底地権価格相当額で当該土地を買い取ったことは、特別受益に当たるか?

相談事例48 父が亡くなり、子である私(弟)と兄が相続人になった。父が借地権を有していた土地を、兄は、父の生前に地主から底地権価格(更地価格から借地権価格を引いた額)相当額で買い取っていた。兄が底地権価格相当額で当該土地を買い取ったことは、特別受益に当たるか?(豊中市在住の方)

借地権も財産上の権利ですので、被相続人が有する借地権も相続の対象となります。

 

また、被相続人が生前有していた借地権を相続人の1人の名義に書き換えて借地権を譲渡した場合、当該相続人が借地権相当額の対価を支払った場合を除き、特別受益に当たると考えられています。
本件では、兄が父親の有する借地権付の土地を底地権価格(更地価格から借地権価格を引いた額)相当額で買い取っています。

 

兄が当該土地を買い取った後、父親と兄の間での地代の授受がなくなり、当該土地の利用が、借地権ではなく土地使用借権(無償で土地を利用できる権利)に基づくものに切り替わったといえるような場合は、当該土地について借地権の負担が消滅したといえます。
その場合、兄は底地権価格相当額を支払っただけで借地権の負担のない(更地価格の価値を有する)土地所有権を取得したことになります。

 

そのため、このような場合であれば、兄は当該土地を買い受けるに際し、父から借地権の贈与を受けた(又は父親が借地権を放棄した)のと実質的に同じと評価できますので、借地権価格相当額が特別受益に当たると考えられます。
 

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大阪千里法律事務所 寺尾 浩(てらお ひろし)
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大阪千里法律事務所、代表弁護士の寺尾浩と申します。当事務所では、豊中市・吹田市・箕面市を中心に、多くの相続問題を多く取り扱っております。依頼者の想いを十分にお聞きし、その想いを実現するために徹底した調査を行い、 専門的知識・経験豊富な弁護士が、依頼者の想いが最も反映された解決案を提示し、 その実現のために、全力を尽くします。 |当事務所の弁護士紹介はこちら