相談事例51 父が亡くなり、母と私(妹)と兄が相続人となったが、兄が遺産分割協議に協力しない。そのため、裁判所に遺産分割審判を申し立てようと考えているが、遺産分割調停を申し立てずに、直接遺産分割の審判を申し立てることはできるか?

相談事例51 父が亡くなり、母と私(妹)と兄が相続人となったが、兄が遺産分割協議に協力しない。そのため、裁判所に遺産分割審判を申し立てようと考えているが、遺産分割調停を申し立てずに、直接遺産分割の審判を申し立てることはできるか?(池田市在住の方)

家事事件手続法257条が定める調停前置主義は、訴えの提起(審判の申立ては含みません。)
をする場合を規定するものですから、遺産分割調停には調停前置主義の適用はありません。

 

 そのため、遺産分割について共同相続人間で協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、遺産分割調停を経ずに遺産分割の審判を申し立てることは可能です。
 ただし、遺産分割審判の申立てがされたときでも、家庭裁判所は、いつでも職権で事件を調停に付することができるとされています(家事事件手続法274条)。

 

 また、遺産分割事件は、その性質上、当事者間の合意により解決されることが望ましいと考えられています。

 

 そのため、実際には、家庭裁判所は、ほとんどの場合、審判を開始する前に調停に付しています。
 本件の場合も、遺産分割調停を申し立てずに、直接遺産分割の審判を申し立てることは可能ですが、その場合、家庭裁判所の職権により、遺産分割調停に付される可能性が高いでしょう。
 

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大阪千里法律事務所 寺尾 浩(てらお ひろし)
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大阪千里法律事務所、代表弁護士の寺尾浩と申します。当事務所では、豊中市・吹田市・箕面市を中心に、多くの相続問題を多く取り扱っております。依頼者の想いを十分にお聞きし、その想いを実現するために徹底した調査を行い、 専門的知識・経験豊富な弁護士が、依頼者の想いが最も反映された解決案を提示し、 その実現のために、全力を尽くします。 |当事務所の弁護士紹介はこちら