相談事例53 父が亡くなり、兄と私(妹)が相続人となった。父の遺産は不動産だけであるが、同不動産には現在私が居住しており、今後も住み続けたいと考えている。どのような遺産分割方法が考えられるか?

相談事例53 父が亡くなり、兄と私(妹)が相続人となった。父の遺産は不動産だけであるが、同不動産には現在私が居住しており、今後も住み続けたいと考えている。どのような遺産分割方法が考えられるか?(豊中市在住の方)

唯一の遺産である不動産に相続人の一人が居住し続ける場合、遺産分割方法としては、
①代償分割、②共有分割、③賃借権や不動産使用借権(無償で不動産を利用する権利)を設定する方法が考えられます。

 
①は、 一部の相続人に法定相続分を超える額の財産を取得させた上、他の相続人に対する債務を負担させる(代償金を支払わせる)方法です。

②は、遺産の一部又は全部を具体的相続分による共有取得とする方法です。

③は、相続人の一人に不動産の所有権を取得させた上、他の相続人のために賃借権や使用借権等の用益権を設定する方法です。

②の方法は、代償分割等が困難な状況にある場合に限定して用いられるべきと考えられています。
また、③の方法では、不動産所有権を取得する相続人は、用益権の負担のついた所有権しか取得できませんので、自由に当該不動産を利用処分できないことになり、当該相続人に不満を残すことが多いです。

そのため、本件において、あなた(妹)に代償金支払能力があるのであれば、「あなた(妹)が不動産所有権を取得し、兄に対し、その代償金を支払う。」という①代償分割の方法によるのがいいでしょう。
 

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大阪千里法律事務所 寺尾 浩(てらお ひろし)
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大阪千里法律事務所、代表弁護士の寺尾浩と申します。当事務所では、豊中市・吹田市・箕面市を中心に、多くの相続問題を多く取り扱っております。依頼者の想いを十分にお聞きし、その想いを実現するために徹底した調査を行い、 専門的知識・経験豊富な弁護士が、依頼者の想いが最も反映された解決案を提示し、 その実現のために、全力を尽くします。 |当事務所の弁護士紹介はこちら