相談事例79(箕面市在住の方からのご相談)父が亡くなり、私(兄)と弟が相続人となった。弟は過去に多額の借金をしており、父がその借金を弟の代わりに返済していたが、これは特別受益に当たるか?

相談事例79(箕面市在住の方からのご相談)父が亡くなり、私(兄)と弟が相続人となった。弟は過去に多額の借金をしており、父がその借金を弟の代わりに返済していたが、これは特別受益に当たるか?

特別受益に該当するためには、「被相続人から遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた」といえることが必要です(民法903条1項)。
 相続人の債務の返済については、「生計の資本としての贈与」に当たるかどうかの問題になります。
相続人の債務を被相続人が代わりに弁済すること自体は、相続人に対する贈与とは言えません。
 ただし、相続人の多額の債務の返済は、実質的に生計の資本としての贈与に当たる可能性があります。
 審判例の中にも、推定相続人の夫の身元保証をしていた被相続人が同夫の不祥事につき多額の金銭を支払っていた事案について、同夫に対して被相続人が支払った金額を請求(求償)しなかったことは、相続人の家族の幸せのために求償債権を免除したものであり、「相続分の前渡し」としての「生計の資本としての贈与」にあたると判断したものがあります。
 
 本件の場合も、父親による子(弟)の借金の返済は、当然に特別受益になるわけではありませんが、返済した借金の額や子(弟)への求償の有無等の事情によっては、特別受益に当たる可能性があります。
 
 

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大阪千里法律事務所 寺尾 浩(てらお ひろし)
大阪千里法律事務所 寺尾 浩(てらお ひろし)
大阪千里法律事務所、代表弁護士の寺尾浩と申します。当事務所では、豊中市・吹田市・箕面市を中心に、多くの相続問題を多く取り扱っております。依頼者の想いを十分にお聞きし、その想いを実現するために徹底した調査を行い、 専門的知識・経験豊富な弁護士が、依頼者の想いが最も反映された解決案を提示し、 その実現のために、全力を尽くします。 |当事務所の弁護士紹介はこちら