相談事例8 父の遺産として土地があるが、父の死亡後、当該土地の価格が5000万円から4000万円に下落した。これから遺産分割するにあたり、土地の評価額は、父の死亡時の価格である5000万円を前提にしなければならないか?

相談事例8 父の遺産として土地があるが、父の死亡後、当該土地の価格が5000万円から4000万円に下落した。これから遺産分割するにあたり、土地の評価額は、父の死亡時の価格である5000万円を前提にしなければならないか?(吹田市在住の方)

 物の財産価値はその時代の経済情勢にかなり左右されます。土地の値段も、時間が経つにつれて大きく変動することがあります。また、遺産分割については、いつまでに行わなければならないという制約がないので、被相続人が死亡した後、長年にわたり遺産分割協議がまとまらず、そのままになっている場合もあります。

 

 そうすると、仮に遺産を相続開始時に遡って評価することになれば、遺産の価値の変動を無視せざるを得なくなり、相続人間に不公平な結果をもたらす可能性があります。また、どの相続人がどの遺産を取得するかは、遺産分割時に判断されるわけですから、各相続人は、遺産分割時の遺産の値段をもとにどの遺産を取得すべきかどうかを考えるはずです。

 そのため、現在の実務は、遺産分割のための遺産評価の基準時について、相続開始時ではなく遺産分割時とすることでほぼ考えがまとまっています。

 

 本件の場合、父親の死亡当時の土地の価格が5000万円であったとしても、これから遺産分割するのであれば、現在の価値である4000万円を基準に遺産分割をすることになります。

 

 なお、相続税の税額を計算する際の基準日は、相続の開始日である被相続人の死亡の時とされています。

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大阪千里法律事務所 寺尾 浩(てらお ひろし)
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大阪千里法律事務所、代表弁護士の寺尾浩と申します。当事務所では、豊中市・吹田市・箕面市を中心に、多くの相続問題を多く取り扱っております。依頼者の想いを十分にお聞きし、その想いを実現するために徹底した調査を行い、 専門的知識・経験豊富な弁護士が、依頼者の想いが最も反映された解決案を提示し、 その実現のために、全力を尽くします。 |当事務所の弁護士紹介はこちら