相談事例23 父が亡くなったが、父は生前知人に貸付を行っており、遺産の中に知人への貸金債権があった。この貸金債権を共同相続人の1人に相続させて、借主に返済するよう請求できるか?

相談事例23 父が亡くなったが、父は生前知人に貸付を行っており、遺産の中に知人への貸金債権があった。この貸金債権を共同相続人の1人に相続させて、借主に返済するよう請求できるか?(豊中市在住の方)

 貸金債権のような可分債権については、相続開始と同時に当然に分割され、各共同相続人に法定相続分に応じて帰属しますので、各共同相続人はそれぞれの法定相続分に応じて当然に権利を取得することになります。

 もっとも、遺産分割協議により1人の相続人に貸金債権を単独取得させることは可能です。
 債権を他人から譲り受けた場合、当該債権の債務者に債務の履行を求めるためには、債権譲渡の通知や債務者の承諾等の対抗要件を備える必要があります。
 遺産分割には遡及効がありますが(民法909条)、第三者に対する関係では相続人が相続によって一旦取得した権利につき分割時に新たな変更を生じるのと実質的に異なりません。
 そのため、法定相続分を超えて貸金債権を取得した場合、法定相続分を超える部分については、債権譲渡がなされたのと同様の権利関係が生じると考えられます。
したがって、共同相続人の1人が貸金債権を単独取得して借主に返済を求める場合には、対抗要件(債権譲渡の通知や債務者の承諾)を備える必要があります。

 

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大阪千里法律事務所 寺尾 浩(てらお ひろし)
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大阪千里法律事務所、代表弁護士の寺尾浩と申します。当事務所では、豊中市・吹田市・箕面市を中心に、多くの相続問題を多く取り扱っております。依頼者の想いを十分にお聞きし、その想いを実現するために徹底した調査を行い、 専門的知識・経験豊富な弁護士が、依頼者の想いが最も反映された解決案を提示し、 その実現のために、全力を尽くします。 |当事務所の弁護士紹介はこちら