相談事例60 (箕面市在住の方からのご相談)祖父が亡くなった。祖父の子である私の父は、祖父が亡くなる前に既に死亡していたため、私(孫)が代襲相続人になった。父が亡くなる前に祖父は私(孫)に不動産を贈与していたが、これは特別受益に当たるか?

相談事例60 (箕面市在住の方からのご相談)祖父が亡くなった。祖父の子である私の父は、祖父が亡くなる前に既に死亡していたため、私(孫)が代襲相続人になった。父が亡くなる前に祖父は私(孫)に不動産を贈与していたが、これは特別受益に当たるか?

代襲相続人が代襲原因発生前(被代襲者の死亡前)に贈与を受けていた場合に、特別受益として持戻しの対象となるかについては、学説上見解が分かれています。
一つの見解は、①相続人間の不均衡の調整という持戻制度の趣旨に照らし、贈与時の資格は問題ではなく、相続開始当時に共同相続人であれば足りるとして、受益の時期に関わらず持戻義務を肯定する見解です。
もう一つの見解は、②代襲原因発生前(被代襲者の死亡前)の贈与については、贈与の時点では推定相続人ではなく遺産の前渡しと評価できないとして、第三者への贈与と同様に持戻義務を否定する見解です。
②の見解が通説です。
 なお、代襲原因発生後(被代襲者の死亡後)に受けた利益については、代襲相続人が推定相続人となった後に受けた利益となりますので、①②のどちらの見解に立ったとしても特別受益として持戻しの対象となります。
 本件では、あなた(孫)は、父親(子)の死亡前(代襲原因発生前)に祖父から不動産の贈与を受けていますので、②の見解(通説)に従えば、特別受益には当たりません。
 

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大阪千里法律事務所 寺尾 浩(てらお ひろし)
大阪千里法律事務所 寺尾 浩(てらお ひろし)
大阪千里法律事務所、代表弁護士の寺尾浩と申します。当事務所では、豊中市・吹田市・箕面市を中心に、多くの相続問題を多く取り扱っております。依頼者の想いを十分にお聞きし、その想いを実現するために徹底した調査を行い、 専門的知識・経験豊富な弁護士が、依頼者の想いが最も反映された解決案を提示し、 その実現のために、全力を尽くします。 |当事務所の弁護士紹介はこちら