相談事例64 (箕面市在住の方からのご相談)長男が亡くなり、長男の妻と子(孫)が相続人となった。長男が亡くなる5年前に私(母)は長男から不動産を贈与されているが、今後長男の妻や子(孫)から遺留分減殺請求される可能性はあるか?

相談事例64 (箕面市在住の方からのご相談)長男が亡くなり、長男の妻と子(孫)が相続人となった。長男が亡くなる5年前に私(母)は長男から不動産を贈与されているが、今後長男の妻や子(孫)から遺留分減殺請求される可能性はあるか?

相続人以外の者に対する生前贈与は、原則として相続開始前の1年間になされたものが遺留分減殺請求の対象となります(民法1030条前段)。
 ただし、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、相続開始より1年以上前になされた贈与についても遺留分減殺請求の対象となります(民法1030条後段)。
 どのような場合に「遺留分権利者に損害を加えることを知って」に当たるかについて、判例上、遺留分権利者を害する目的までは不要とされていますが、贈与時に遺留分を侵害する事実を認識することができ、かつ、将来被相続人の財産の増加がないことを予見することが必要であるとされています。
 本件の場合、あなた(母)は相続人ではなく、不動産の贈与も長男の相続開始(死亡)より1年以上前になされていますので、原則として長男の妻や子(孫)から遺留分減殺請求されることはありません。
 ただし、①あなた(母)への不動産の贈与が長男の妻や子(孫)の遺留分を侵害する場合で、②贈与時に当該贈与が遺留分を侵害する事実を認識することができ、かつ、③贈与時に将来長男の財産の増加がないことを予見することができた場合には、長男の妻や子(孫)から遺留分減殺請求される可能性があります。
 

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大阪千里法律事務所 寺尾 浩(てらお ひろし)
大阪千里法律事務所 寺尾 浩(てらお ひろし)
大阪千里法律事務所、代表弁護士の寺尾浩と申します。当事務所では、豊中市・吹田市・箕面市を中心に、多くの相続問題を多く取り扱っております。依頼者の想いを十分にお聞きし、その想いを実現するために徹底した調査を行い、 専門的知識・経験豊富な弁護士が、依頼者の想いが最も反映された解決案を提示し、 その実現のために、全力を尽くします。 |当事務所の弁護士紹介はこちら