相談事例73(豊中市在住の方からのご相談)母が亡くなり、私(弟)と姉が相続人となった。母の遺産として預貯金1000万円があるが、私(弟)は時価2000万円の不動産を母から生前贈与されていた。姉は「遺産は私(姉)が取得する。あなた(弟)の相続分は1500万円なのに2000万円の不動産を贈与されているのであるから、差額の500万円を私(姉)に支払うべき」と主張しているが、姉に500万円を支払う必要はあるか?

相談事例73(豊中市在住の方からのご相談)母が亡くなり、私(弟)と姉が相続人となった。母の遺産として預貯金1000万円があるが、私(弟)は時価2000万円の不動産を母から生前贈与されていた。姉は「遺産は私(姉)が取得する。あなた(弟)の相続分は1500万円なのに2000万円の不動産を贈与されているのであるから、差額の500万円を私(姉)に支払うべき」と主張しているが、姉に500万円を支払う必要はあるか?

共同相続人中に被相続人から特別受益を受けた者がいるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額に、贈与に係る特別受益財産の価額を加えたものが相続財産とみなされ(みなし相続財産)、法定相続分から特別受益財産の価額を差し引いた残額が当該相続人の具体的相続分となるのが原則です(民法903条1項)。
 
ただし、法定相続分を超える特別受益を受けていた相続人(超過特別受益者)がいる場合、超過分を返還しなければならないとすると、超過特別受益者が不測の損害を被ることになるため、超過特別受益者は遺産分割により新たに遺産を取得することはできないものの(民法903条2項)、超過分を他の相続人に返還する必要もありません。
 
本件の場合、母親からの不動産の生前贈与は通常特別受益に当たりますので、みなし相続財産は預貯金1000万円に当該不動産の価額2000万円を加えた3000万円になります。
また、相続人は被相続人の子であるあなた(弟)と姉の2人ですので、あなた(弟)の法定相続分は1/2です。

あなたの相続分は本来3000万円×1/2=1500万円ですので、特別受益の額(2000万円)が法定相続分を超過しています。

そのため、あなた(弟)は遺産の預貯金1000万円を取得できませんが、超過分(500万円)を姉に支払う必要もありません。
 

投稿者プロフィール

大阪千里法律事務所 寺尾 浩(てらお ひろし)
大阪千里法律事務所 寺尾 浩(てらお ひろし)
大阪千里法律事務所、代表弁護士の寺尾浩と申します。当事務所では、豊中市・吹田市・箕面市を中心に、多くの相続問題を多く取り扱っております。依頼者の想いを十分にお聞きし、その想いを実現するために徹底した調査を行い、 専門的知識・経験豊富な弁護士が、依頼者の想いが最も反映された解決案を提示し、 その実現のために、全力を尽くします。 |当事務所の弁護士紹介はこちら