相談事例4:父は生前複数の株式を保有していた。相続人が複数いる場合、この株式についても遺産分割協議が必要となるか?

父は生前複数の株式を保有していた。相続人が複数いる場合、この株式についても遺産分割協議が必要となるか?(豊中市在住の方)

株式は相続の対象となります。
会社の定款において、株式の譲渡についての制限を加えている場合がありますが、その株式譲渡制限は相続には適用されませんので、その場合でも株式が相続の対象となることに変わりはありません。

 

 

ただし、株式に譲渡制限がついている場合、会社から株式の売渡請求をされる可能性はあります(会社法174条)。なお、持分会社(合名会社、合資会社及び合同会社)の場合は、死亡が社員の退社事由となりますので(会社法607条1項)、社員の地位は相続の対象になりません。

 

 

株式数が複数である場合でも、各相続人が法定相続分に応じて株式を当然に取得するわけではありません。株式は、遺産分割が終了するまでは、各相続人の法定相続分に応じた準共有となります。したがって、被相続人が死亡した場合、各株式を最終的にどの相続人が取得するかを決めるためには、遺産分割協議が必要になります。

 

 

なお、株式について遺産分割協議がなされるまでに相続人が株主としての権利を行使する場合は、株式共有の場合の手続に従い、株主としての権利を行使すべきもの1人を定めて、会社に通知しなければなりません(会社法106条)。

 

遺産分割協議が調い、ある相続人が株式を取得することになった場合は、名義変更の手続をとれば、その相続人が株主としての権利を行使することができるようになります。

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大阪千里法律事務所 寺尾 浩(てらお ひろし)
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大阪千里法律事務所、代表弁護士の寺尾浩と申します。当事務所では、豊中市・吹田市・箕面市を中心に、多くの相続問題を多く取り扱っております。依頼者の想いを十分にお聞きし、その想いを実現するために徹底した調査を行い、 専門的知識・経験豊富な弁護士が、依頼者の想いが最も反映された解決案を提示し、 その実現のために、全力を尽くします。 |当事務所の弁護士紹介はこちら