相談事例16:遺産を管理している共同相続人の1人が遺産である預金口座の通帳を開示しないため、預金の取引経過や残高が分からない。どうすればよいか?

相談事例16:遺産を管理している共同相続人の1人が遺産である預金口座の通帳を開示しないため、預金の取引経過や残高が分からない。どうすればよいか?(箕面市在住の方)

 預金者が死亡した場合、その共同相続人の一人は、預金債権の一部を相続により取得するにとどまります。そのため、共同相続人の一人が他の共同相続人の同意を得ずに遺産である預貯金の取引履歴を開示請求できるかどうかについて従前争いがありましたが、平成21年の最高裁判決によりこの争点に終止符が打たれました。

 最高裁は、預金者にとって預金口座の取引経過の開示を受けることは、預金の増減とその原因等について正確に把握するとともに、金融機関の事務処理の適切さについて判断するために必要不可欠であるとして、金融機関が預金契約に基づき預金者の求めに応じて預金口座の取引経過を開示する義務を負うことを認めました。
その上で、共同相続人の1人による開示請求について、預金者が死亡した場合、他の共同相続人の同意がない場合であっても、共同相続人全員に帰属する預金契約上の地位に基づき、被相続人名義の預金口座についてその取引経過の開示を求める権利を単独で行使することができるとしました。
したがって、共同相続人であれば、遺産である預金口座のある金融機関に対し取引経過の開示請求をすれば、取引経過や残高を調査することができます。

投稿者プロフィール

大阪千里法律事務所 寺尾 浩(てらお ひろし)
大阪千里法律事務所 寺尾 浩(てらお ひろし)
大阪千里法律事務所、代表弁護士の寺尾浩と申します。当事務所では、豊中市・吹田市・箕面市を中心に、多くの相続問題を多く取り扱っております。依頼者の想いを十分にお聞きし、その想いを実現するために徹底した調査を行い、 専門的知識・経験豊富な弁護士が、依頼者の想いが最も反映された解決案を提示し、 その実現のために、全力を尽くします。 |当事務所の弁護士紹介はこちら